大学病院に勤務し、紹介患者さんを診察させていただきましたが、身体的な治療をしても改善し難い方が年々多くなる経験をしました。身体的苦悩症候群とも言われる辛さですがどうしたら早く患者さんが苦痛から解放されるかを考え実践しています。
全人(心身医学)的治療、統合医療から患者さんの立場に立ってその方の人格を尊重して、最適で安心でき、納得のいく治療を心掛けていて遠方より通院していただいていますが、治療者自身も万能でないため全ての患者さんに納得いく治療になっているわけではないことも了承下さい。
治療概要
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治療によっても改善しにくい体の症状は現代医療ではまだ未解決の領域と思われます。患者さんの症状を種々の検査によっても異常な所見が得られないことがあるにも関わらず長く続き症状が重くなったり、時には気にならなくなったり、あるいは症状の場所が動くことさえあります。
診療室には検査機器はありませんので検査結果を参考にさせていただき、必要がある場合には連携した病院や医院を紹介させていただくこともあります。
患者さんの症状は確実にその感覚として存在しますので、その苦痛を十分にお聞きし症状を受け入れられ生活が通常どうりにできるための支えの治療となります。
患者さんの治療を通じての経験から患者さんとの信頼関係が全てで、信頼が得られなければ治療にならないため、面接・治療には十分な時間を確保します。
薬物治療は必要時に了解が取れた時に行います。
薬物療法は心理精神療法と同等あるいはそれぞれの優劣があるとされていますが患者さんの考えが何よりも優先されます。身体症状には症状そのものに対応する体への自律訓練法などの心理精神療法が必要です。
FAQ よくあるお問い合わせ
顎関節症とは?
顎周囲の開きにくさなどの動き、痛み、雑音などの違和感です。具体的には顎が開かない、閉じない、動かすと痛みが増す。顎の痛みが続き気になるなど食べることが苦痛で痛みのためしゃべることができなくなることもあります。マウスピースや薬でも改善しないことの多い難治性の症状ですが、心身相関を理解することによって軽減することも多い症状です。。
舌痛症とは?
舌の長く続く痛みで、口腔内灼熱症候群とも言われ歯科・口腔外科で最も多いとされる慢性疼痛です。その程度は数回の治療で済む場合もありますが10数年続くことさえあります。薬の副作用の可能性は少なく、薬の効果は一時的です。うつ状態との関係が強く伺われます。
口腔顔面痛とは?
原因不明の歯痛(非定型歯痛、非歯原性歯痛)、顎、顔面、歯茎などの非定型顔面痛などで、星状神経節ブロック(神経ブロック)でも消失することも少ない慢性疼痛です。歯や歯肉の治療は症状を悪化することも多く、治療にあたっては患者さんも知ったうえで行うことが必須ですがまずは行わないことが重要です。この症状もうつ状態との強い関連性があります。
口腔心身症とは?
歯科心身症ともいわれますが、歯を含む口腔周囲の原因不明の身体症状症とされ、検査でも異常が認められない、長く続く不快な症状です。完全な治療は原因や経過も様々であるため確定していません。精神科の身体症状症心療内科の機能性身体症候群と重なると考えられます。
全人的医療とは?
心身医学的治療とほぼ同意語ですが、人の病気は身体だけで起こるのでなく環境(ストレーサー)によって影響される生体反応によっての症状があり、症状は身体と生活している背景から生じます。患者さんの生活ならびに身体の全てを診察し治療します。原因がすべてわかっていると言い難い難治性の症状に行っています。心身医学は文字どおり心と体を同時に診察して治療します。この治療法によって改善する方も多くおられます。
不定愁訴(MUS)とは?
説明困難な身体症状(medically unexpplained symptoms)で、訴える症状に見合うだけの身体(器質)的疾患を見いだせない多彩で易変動性の症状とされています。症状を患者さんと共有することによって患者さんの了解や納得が得られることによって症状が軽減することが多く経験されています。
身体症状症とは?
不定愁訴を有する患者さんで、身体症状を訴えているにも関わらず見合うだけの身体疾患が見いだせない症状で、米国精神医学会で診断された病名です。
機能性身体症候群とは?
明らかな身体構造の異常が認められないにも関わらず、それ以上の苦痛や障害を訴える過敏性腸症候群、慢性疲労症候群などの症候群です。
身体的苦悩症候群とは?
身体の症状を調べる検査を行ってもその原因がはっきりしない身体症状を診断するため、臨床的に唱えられた複合性身体症状障害と同様にBDS(bodily distress syndrome)と診断される患者さんを中心とした疾患概念です。
セネストパチー(体感異常感症)とは?
身体の感覚異常から特殊の症状が出ます。口の中では歯が回転する、伸びる、動き回る、針などの異物が動く、嫌な液体が出てくるなどがあります。非常に難治なもので回復が困難なことも多々あります。
治りますか?体も絶対ということはありませんが、治らないとも言い切れません。症状を患者さんと一緒になって(症状の外在化)最新、最善の治療を心掛けています。
病診連携とは?
大規模な病院と診療室の連携を図ることによってより良い医療を患者さんに届けられるように、新しい検査などの必要性があった場合には行います。
何故、自由診療ですか?
現在の検査で身体的な異常所見が認められない時には治療の必要性が無いと考えられて、保険診療は認められていません。大学も公的病院も同様ですが、辛い患者さんから死ぬほど苦しいと言われる症状は治療者にも社会にも理解が得られていません。症状があるのに器質(身体)的な異常が認められないと時には何でもないとか、気のせいなどとさえ診断され不安が生じて症状も悪くなることも多くあります。そのため多数の施設を受診する(医師巡礼、ドクターショッピング)方は症状が消えなかったり、十分な了解が得られていない方々が、大部分です。患者さんが診断と治療に納得が行く時間を確保するためと住居用の施設という環境もあります。また、時間のかかる治療は保険医療にはないためや電子カルテの導入によって患者さんの診察時間が十分とりづらい欠点もあります。患者さんの納得のいく時間を治療者と相談し治療を進める治療が大切と考えております。さらに有意の若い歯科医が患者さんの治療に寄与できる治療体系を構築する意味もあります。支払いの難しい方はご相談ください。
何故、歯科医が全人的医療を行うのですか?
歯学教育は医学教育と分かれているため、歯学教育はいまだ主には歯とその周囲の歯槽骨や歯茎などを治療する教育がなされています。このために寿命が延び疾病が変わってきた時代に関わらず、相変わらず、歯科医師は歯を診察する治療者との認識が教育者をはじめ社会はに残っていますし暫くはこのままと思います。このことが患者さんにとって不都合なことも多いと臨床を通じて痛感しています。一方、どの身体科でも主な症状に当てはまる診療科を受診しますが歯科でも歯科疾患だけのみの方はなく不都合な体の不調を持ちながらその中で主な症状が歯科、口腔領域に発症して方が多くいます。患者さんは経済、家族や環境など社会的生活を行っていて体の不調を持ち健康を害している人です。口腔領域は歯科、耳鼻科、内科などが主に診察していますが、口腔外科医が診察していることが認知されていない傾向も見られます。外科疾患でなく、内科的な症状を口腔内科として診断・治療する立場もありますが、外科、内科に関わらず、病む人を診察しなければなりません。口腔領域は身体を守るので中枢器官が集中しているため、感覚は敏感にできていますし、唇による哺乳からをみましても情動にも多くの影響があります。顔貌や全身状態に加えて口腔を観察させていただくとその方の健康度が良く観察できます。教育から歯科医師は抗うつ薬や睡眠導入薬を処方するには医師からの紹介状が無ければ処方できませんが、神経障害性疼痛に限って三環系抗うつ薬のアミノトリプチリン(トリプタノール®)が世界基準からようやく認められました。臨床では抗不安薬や三環系抗うつ薬以外のSSRI,SNRIなどの安全性の高いとされる抗うつ薬も将来対象になる可能性もありますが、薬物だけでは改善できないことも事実です。不安や緊張や葛藤などが体に現れた(身体化)した症状は身体症状症(DSM-5 米国精神科学会)とされていますが治療の初期には症状の説明(病態説明)と体に働きかける腹式呼吸、自律訓練法、入浴療法、散歩を含む行動による日常生活の改善などが効果的でした。
社会環境が変わった高齢社会では医科、歯科、心理学、薬理学、歴史学、哲学などをより以上取り入れた医科歯科一元教育にすることが患者さんの治療に寄与できると思われます。